いろいろある民間老人ホームは、特養とどう違うのでしょうか?

民間の「老人ホーム」はさまざまなタイプがあります。それぞれ必然性があって分かれており、目的や対象者に違いがあるのですが、いきなりそのリストを見ても分かりにくいものなので、公的な老人ホームの代表格である特別養護老人ホームとの比較で、その特徴を説明します。

特別養護老人ホームの主な特徴

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特別養護老人ホームは地方自治体や社会福祉法人が運営する公的な老人ホームという位置づけになります。昭和38年から存在し日本の介護福祉の根幹をなす施設で、「老人ホーム」と言ったときに真っ先に思い浮かべるものであるといえます。
食事、入浴、排泄といった生活全般に渡る介護を24時間受けることができ、費用も安いのですが、入所条件は要介護3以上となっており、これは「寝たきりや認知症などで常時介護が必要であり自宅での生活が困難」という状況を想定しています。
全国に6500ヶ所以上も施設があるのですが、入所待機者は36.6万人を超えるといわれており、入所までに1年〜5年の待機期間が必要となっています。

特別養護老人ホームのメリットとデメリット

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メリット

  • 入居時費用は無料で月額費用も10万円程度と利用料が安い
  • 手厚い介護を24時間受けることができる
  • 長期入居が可能で終の棲家になる

デメリット

  • 要介護3以上でないと入所できない
  • 待機時間が長い
  • 医療ケアが限定的

特別養護老人ホームの入所基準と費用

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特別養護老人ホームの入所基準は、原則として65歳以上の要介護3以上の方です。詳細は自治体や施設ごとに異なりますが、本人の要介護度や自宅での介護状況などに応じて優先度が決められ、優先度の高い方から順番に入所するという流れになります。基準を満たせば機械的に決まるとか、高い入所料を払ったらとか、そのように決まるわけではありません。

しかし民間サービスと比べて費用が安いのが特徴です。入居一時金は不要ですし、月額費用も10万円程度となります。また費用の負担軽減措置が取られており、年金などの所得の少ない方は、住居費や食費の減免を受けることができます。

月額費用のうち大きな部分は住居費で、相部屋で1万円程度、従来型個室で4万円程度、ユニット型個室は5万円程度が目安です。その他に、介護サービス費や水道・光熱費、食費、生活費などが月額費用の内訳になります。

特別養護老人ホームの介護・医療と居住環境

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特別養護老人ホームは自宅で介護生活ができない方を対象としているので、そのような方が必要とする介護サービスは全て提供されます。介護・看護職員が入居者3人に対して一人以上、機能訓練指導員一人以上などの義務付けがあり、安定した介護・看護サービスを受けることができます。しかし、医療ケアについては健康管理や保健衛生が主体で、日常的な医療ケアには対応していないのが一般的です。
これらの対応状況は施設によって異なりますが、概ね下記のようになっています。

• 提供している介護サービス

  • 食事提供
  • 掃除・洗濯
  • 見守り・生活相談
  • 買い物代行
  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 排泄介助
  • 着替え介助
  • リハビリ
  • レクリエーション(施設によってかなり異なる)

• 医療サービス

  • 服薬管理
  • 医療機関との連携

キッチンやトイレや浴室などの生活設備は共有となっており、ワンルームマンションのように個人で専有するわけではありません。食堂やリビングも共有が一般的です。
居室は相部屋、従来型個室、ユニット型個室があります。これは歴史的経緯によるもので、元々は病院の大部屋のような相部屋(一つの部屋を2人〜4人で共有)が一般的だったのですが、2003年(平成15年)に「入居者一人ひとりに尊厳のある個別ケアを提供する」ことを目的に小規模生活単位型特別養護老人ホーム(新型特養)が望ましいとされ、これがユニット型とよばれます。しかし特別養護老人ホーム自体が不足しており、36.6万人もの人が待機している現状ですので、2003年以前の居室も3割程度残っています。

特別養護老人ホームの入所難易度

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特別養護老人ホームの入所難易度は非常に厳しい状態が続いています。 かつて特別養護老人ホームの待機者数は全国で50万人以上といわれましたが、2015年に入居基準が厳格化され、2017年には36.6万人にまで下がりました。
特別養護老人ホームの入居は順番待ちの状態ですので、待機リストが50万人から36.6万人にまで減ったということはいえますし、潜在的な需要は減っていないともいえます。しかも2017年より特別養護老人ホームの待機者数は再び上昇傾向となっています。

特別養護老人ホームと比較しうる民間サービス

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以上に見てきたとおり、特別養護老人ホームは現状においては望めば誰でも簡単に入所できるというものではありません。これには3つの理由が考えられます。

社会福祉の観点から

特別養護老人ホームは公的施設であり、社会福祉の観点から、介護の必要の重い人や低所得者の支援に重点を置いています。
良い意味でも悪い意味でもなく、「金を出せば入れる」というものではないということになります。

要介護度の観点から

特別養護老人ホームは重介護者の保護に重点があり、要介護度が3以上の人が対象となります。要介護度3を具体的にいうと、自分で立ち上がることができず、排泄などに全面的な解除が必要になるという状態を指します。
そのため、介護度が1〜2の人は、入りたいと思っても特別養護老人ホームに入ることができません。

政策的な観点から

要介護度3の介護を自宅で行うことは、介護する人と介護される人の両方に負担が大きくなります。これは双方の基本的人権を損なう可能性が高いために、ここから率先してリソース(税金など)を投入しています。
そのため要介護度1〜2の人は、公的サービスではなくて民間サービスも使うようにするように政策的に決めています。

そのため、特別養護老人ホームの代替として選びうる民間サービスとしては、

  • 金銭的に余裕がある
  • 比較的要介護度が低い

というあたりになります。具体的には下記のようになります。要介護度の重いもの順に並んでいます。

介護付き有料老人ホーム

サービス内容(介護内容)は特別養護老人ホームと同じかそれ以上になります。それ以上というのは入居者の快適に属するところで施設によって様々です。食事のこだわりであったり、リハビリテーションの充実度であったり様々です。
介護保険制度上では特定施設入居者生活介護(特定施設)とよばれ、家族の所得に対して扶養控除や障害者控除などの恩恵が得られる場合があります。しかし、「特別養護老人ホームとの値段差を介護保険が補填してくれる」というものではありませんので、そこはご注意ください。

住宅型有料老人ホーム

食事、洗濯、清掃などの生活支援サービスのついた高齢者施設で、入居者が要介護になった場合は訪問介護などの在宅サービス事業所のスタッフが対応します。そういった事務所が同じ敷地内にあって同じ企業グループが経営しているという場合が多いです。 要介護の程度の低い人に対して、介護の受けやすい住宅を提供しているというものになります。

健康型有料老人ホーム

主な対象者は要介護の人ではなくて、身の回りのことは自分でこなせる自立した状態の高齢者で、家事サポートや食事等のサポートがついています。元気な状態をなるだけ維持することを目的とした設備が充実していますが、要介護状態になると退去しなくてはいけません。ただ移動できる設備が併設されているところもあります。

サービス付き高齢者向け住宅

介護認定のない自立した人や軽介護度の高齢者を受け入れている賃貸住宅になります。